【「落としぶみ」進藤健次郎】
令和2年の秋に、秋田の脳外科のS先生が、ご自分の定年に際し、
記念に「落としぶみ」という小冊子を出版された。この冊子の名
を「落としぶみ」とされた訳が中の一文に書いてあり、エゴツル
クビオトシブミと言う虫がエゴの木に揺籃を付け、それが地面に
落ちる様を、平安の女性が恋文を男性の通り道に落とす“落とし
文”に例えて「落としぶみ」と言う事を知った。秋田の小泉潟公
園にエゴの木があり、S先生はこの年の6月に満開の白い花をつ
けたエゴの木に「落としぶみ」を見つけた事が書いてあった。私
も是非この優雅な「落としぶみ」を見たいと思い、昨年の6月に
S先生ご夫妻に案内して頂いて小泉潟公園で撮影したのがこの写
真です。“落としぶみ”なんと美しい響きの言の葉でしょう。日本人
に生まれた喜びを感じるひと刻です。